気象条件によって変化する 大都会の夜景の色

 
皆さんこんにちは。
ここ最近多忙のため、ウェブログの更新が滞っておりまして申し訳ありません m(__)m
今回は、先日の講義中に ある生徒さんから受けた質問からのお話です。
 
先月初めに行った 梅田スカイビル空中庭園での夜景撮影会の際に私が撮ったこの写真(↓↓↓)についての話題が上った時のこと…
 
梅田空中庭園の夜景 (モヤな晩) 
 
「それにしても、先生はどうして夜景をこんなに黄色っぽく写されたんですか???」
 
…という質問が出ました。
 
 
 
よくぞ聞いていただきました!!!!
実はコレ、一応ちゃんと理由があってのことだったんですね。
 
最初に断っておきますが、私も夜景を毎回こんなに黄色っぽく写す訳ではありません。
ただこの時は、初めから 「こういう色にしよう!」 と思って撮りました。
そう判断した理由が、この日の 『気象条件』 なんです。
では、気象条件が写真の色とどう関係しているのかをご説明しましょう。
 
 
 
では、まずは 『光』 というものの性質について少し考えてみて下さい。
光は一種の“波長エネルギー”ですので、波長の大きさによって色味や屈折率が異なります。
基本的には、『温調』 (赤色や橙色や黄色)とされる光は、波長が長く、屈折率が低くなります。
逆に『冷調』 (水色や青色や紫色)の光は、波長が短く、屈折率が高くなります。
 
この原理は、海の色なんかを思い浮かべてみると解りやすいですね。
太陽光が上から差している昼間は可視光線の多くの波長の光が大気層をすり抜けてきます。
それで、海は屈折しやすい青い光を反射するので私たちの目には青く見えます。
しかし、陽が傾いてくると、屈折率の高い波長の高い光、つまり青っぽい光は大気層に阻まれて地上に届きにくくなるため、赤や黄といった色の空になり、それを反射する海は燃えるような色に染まる、という訳です。
 
こうした光の色による性質の違いは、私たちのまわりにある様々な製品にも生かされています。
たとえばレーザー光。 これは屈折率が非常に低い赤い光のエネルギーを特殊なレンズで集光することにより、遠くまで直進し続けるように工夫したものですね。
またもう少し一般的なもので挙げますと、車のフォグランプや高速道路の照明、高層ビルの航空障害灯なんかも屈折率の低さを利用したものですね。 霧やモヤがかかっているような気象条件でもこうした色の光は屈折しにくいので、遠くまで光が届きやすくなり安全性が期待できるという訳です。
 
 
 
さて、だんだんと本題の意味が解ってこられたことと思います。。。
 
そう……
この日の晩は、(ウェブマガの前の記事でも書いたように) かなり広範囲に“モヤ”が広がっているような状態でした。
こういう時の大都会の夜景というものは、とても黄色っぽく見えるものなんですね!!
普段から強く意識していないとなかなか気付きにくいことかもしれませんが、確かにこの日の夜景は 私の目にはいつにも増して黄色っぽく見えました。
それで、この日がそうした気象条件であったことを表現するために、写真の色味もそれを強調して撮影してみたという訳です。
 
因みに、これとは逆に、気温も湿度もとても低いような気象条件の時には屈折を邪魔する要因が減るために、青い光を含めて全ての色味の可視光線が直進しやすくなり、結果として私たちは より鮮やかな夜景を楽しめることになります。
冬の夜景が四季で最も美しいとされる主な理由はこれなんですね。
 
 
 
 
さて、ツラツラ書いているといつの間にやら文字ばかりになってしまいました。
それもちょっと寂しいので、上の写真のカラーバランスを画像処理で少し変えてみたものを掲載することにします。
 
梅田空中庭園展望台 屋上からの夜景 
梅田空中庭園展望台 屋上からの夜景
 
いかがでしょうか……
同じ写真でも大きく雰囲気が変わることがお分かりいただけると思います。
いずれの写真も それほど極端な色味に振ってはいないにもかかわらず、これだけ違ってくるんですね。。。
 
どの写真が好みかについては意見が分かれるところかもしれませんが、皆さんも カメラのホワイトバランスの設定、あるいは画像編集時のカラーバランスの調整などをされる時に、季節や時間帯、気象条件なども考慮しながらアプローチしていくことを覚えられると、写真にも一層幅が出て楽しみも広がるのではないかと思います。
ぜひ、いろいろ試してみて下さいね!!
 
それでは今回はこのへんで (^^)/
 

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